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コーヒー基礎知識

From seed to cup ~ 一粒のコーヒーの実から一杯のカップまで ~

第11回 コーヒーの焙煎 [1]

今回は焙煎についてお話しいたします。コーヒーの生豆は、それ自身では味気の無いものですが、焙煎(ロースト)により、生豆の成分が糖質のカラメル化をはじめとする複雑な化学変化が起こり、様々な風味成分が生成します。また焙煎の過程では、生豆の膨張、ハゼと呼ばれる音、といった様々な現象が起こります。まさに五感を駆使して行う行程です。

焙煎の最初の行程は、水分の蒸発です。生豆は水分が約12%ありますが、焙煎機に投入された生豆は、表面から水分が蒸発していきます。焙煎豆の表面温度で約160度付近になると、生豆は黄色から薄い褐色となり、ここからが焙煎の本番となります。
豆は熱を大量に吸収し、カラメル化反応をはじめとする複雑な化学反応が起こり、褐色物質が形成されていきます。豆が膨らみ始める頃、1ハゼと呼ばれるポツポツという音が聞こえます。これは豆内部からの水分蒸発による音で、豆は膨らんでいきます。この段階から豆は逆に熱を放出するようになります。従って焙煎機の火力を弱めていくのが通常です。
豆の膨らみは、生豆のグレード、即ち堅さや密度に依存しますが、高地産の豆は堅く、膨らみにくいのが一般的な傾向です。膨らみきって、1ハゼがほぼ終了したあたりが一般的に中煎り(ミディアムロースト)と呼ばれていますが、ここから次の2ハゼと呼ばれるところまでが、風味的には大きな変化をもたらすステージです。
焙煎が進行すれば、甘みが増加し、酸味は減少、苦味は増加します。香りは生豆由来の成分、例えば花、フルーツ、ハーブ系の風味は、浅めのところでは目立ちますが、焙煎が深くなってくるとカラメル、チョコレートといった焙煎由来の香りが目立ってきます。これら風味については以降、詳しくお話しますが、この1ハゼ終了から2ハゼ開始までのところが、風味の大きな変化がみられるステージです。
その後2ハゼといわれる豆組織破壊によるピチピチという音がはじまると、いよいよ深煎りの領域となっていきます。ピチピチが激しくなり、豆温度は豆自身の発熱反応でどんどん上昇し、豆は黒くなっていきます。風味はダークチョコレートから苦味、スモ-キーさを増していきます。2ハゼが終了する頃、豆表面にはオイルが出て、更に焙煎するとフレンチ、イタリアンといった極深煎りとなり、風味は苦味主体でコクが少なくなっていきます。

上記は一般的な焙煎の流れですが、生豆の産地、グレード、そして焙煎機の種類によっても風味は大きく異なります。

次回は熱の種類や焙煎機の違いによる風味の違いについてお話します。

サンプル焙煎機
エチオピアコーヒーセレモニーの焙煎