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コーヒー基礎知識

From seed to cup ~ 一粒のコーヒーの実から一杯のカップまで ~

第4回 コーヒーの生産処理 [1] ナチュラル方式

いよいよ収穫を終えると次は処理工程となります。処理工程は大きく分けて2つありますが、1つはチェリーの皮を剥き、発酵、水洗いをして仕上げていくウオッシュド(水洗式)と、もう1つは、チェリーをそのまま乾燥させるナチュラル(非水洗式、アンウオッシュド)です。近年、さらにこの2つの中間的方式もあり、複雑化していますが、これらについては次回以降、お話します。

今回はナチュラル方式です。処理工程は非常に単純で、摘み取ったチェリーをパティオと呼ばれる乾燥場(コンクリート)または棚に広げ、そのまま乾燥させるだけです。天候にもよりますが、数週間で乾燥します。その乾燥した干し葡萄のような乾果をそのまま脱穀すると生豆となります。生豆の状態は濃緑色ではなく、やや黄色がかっているのが特徴です。これはチェリーの果汁(糖分を含む)の中でパーチメント(生豆)が乾燥していくため褐色化するものと思われます。

この方式はチェリーの熟度の均一性が、品質の鍵を握っているといって良いでしょう。何故ならば生豆になるまでに、選別工程がハンドピックによる欠点チェリーの除去しかないからです(生豆後の不良豆の選別処理はあります)。さらには収穫期に降雨がある地域、湿度の高い地域では、たとえ赤い均一なチェリーであっても、乾燥が緩慢に進行し、発酵臭、薬品臭といった好ましくない風味が出てしまうことがあります。ブラジル、エチオピア、イエメンなどではこの方式が主流であり、ブラジルは世界最大の生産国ですから、この方式はとても重要です。

ナチュラル方式で作られたコーヒーの風味特徴は甘味です。特に赤い実のみを丁寧に摘み取り、適切な乾燥を経て作られたコーヒーは、ふくよかな甘味があります。さらにチェリー由来のフルーティーさ、チョコレートのような風味、ナッツなど複雑な風味をもたらします。近年、風味の綺麗な水洗式のコーヒーが主体ですが、ナチュラル方式由来の複雑な風味もやはりおいしいものです。

次回は水洗式についてお話しいたします。

パティオと呼ばれる乾燥棚にチェリーを広げる様子
数週間天日に干され、干葡萄のように乾燥するチェリー